Brand strategy column-ブランド戦略コラム-

パーソナルブランディング

社員のパーソナルブランディングで業績を上げる方法

2018.06.28

パーソナルブランディングというと個人事業主やコンサルタント、デザイナー、講師、弁護士など自分を看板に仕事をする人たちをイメージしがちですが、最近では企業が積極的に社員のパーソナルブランディングを推進する動きが始まっています。

なぜなら、働く人は企業の「顔」。顧客接点となる担当者が、自分が企業の「顔」であることを意識し、さらに自分を魅力ある存在として押し出すことができれば、業績アップにつながるからです。「営業マン研修」「マナー研修」などの一般的なトレーニングでは成果が定着しなかった企業が見つけた次の手。社員のパーソナルブランディングを導入すると一体どんないいことがあるのでしょうか?

社員のパーソナルブランディングとは?

パーソナルブランディングとは、自分を他者と差別化し、選ばれる状態を作り出すための活動のことです。その意味では、自分を看板に仕事をしている個人経営者も、会社に所属する社員も目的は同じです。では両者は何が違うのでしょうか?

社員のパーソナルブランディングの場合は、「企業ブランド」を守り育てることを念頭に置きながら、自分の人間力を発揮して顧客に選ばれる存在になる取り組みを行います。企業の中の「個」として自分を表現することが、結果的に企業ブランドの価値を向上させることになります。

そのため社員のパーソナルブランディングは、企業の傘下にいる自分を常に意識することが必要です。逆に、個人事業主など自分を看板にして活動する人は自身のカラーを全面に押し出し、思い切ったことができるという違いがあります。

社員のパーソナルブランディングで業績が上がる理由

現代は競合他社が多く、類似商品やサービスが市場にあふれています。例えばコピー機、工務店、IT・情報システム、求人サイトなどを思い浮かべてください。A社とB社はどう違うのかがわかりにくく、価格比較をしても大差ないことが多いですね。

そんな時、購入の決め手となるのが「人」です。競合他社と差がない場合、お客様は商品やサービスを選んでいるのではありません。人を選んで購入しているのです。だとしたら、「○○を買うならあの人から」「困った時には〇〇さんに相談しよう」と社員個人をブランディングできれば、当然集客や売上アップにつながりますね。社員が魅力的な会社として競合他社と大きく差別化でき、企業ブランドの価値も上がるでしょう。

また、「あなたから買いたい」、「あなたに頼みたい」という声が自分に集まることは、社員にとっても大きな喜びとなります。モチベーションがアップし、ますますお客様に喜ばれる仕事をしたいと思うはずです。各社員の役割と価値も明確になり、組織力が上がるというインナー効果も期待できるでしょう。

社員のパーソナルブランディングの進め方

オレンジフリーでは、社員のパーソナルブランディングを以下のポイントで行っています。

【 1. パーソナルブランディングの必要性を腹落ちさせる】
突然集められて「今からパーソナルブランディングを行います」と告げられても、社員はやることの意味がわかりません。旗振り役の経営者、経営幹部が事前に社員に対して「なぜ必要なのか」「パーソナルブランディングを行うと自分にとってどんないいことがあるのか」をきちんと説明しましょう。

【 2. 業績やビジネスの現状を確認する】
社員のパーソナルブランディングは企業ブランドを下支えします。今、会社が置かれている状況はどうなのか?競合他社と比べてどうなのか?どのような未来が予想されるのか?社員の一人ひとりがパーソナルブランディングを行うと、会社はどのように変わっていくのか?など、現状分析を行い、メンバー間で共有します。

【 3. 自分の棚卸しをする】
自分は何を大切にしていて何を大切にしていないのか。価値観を探り、人生を振り返ります。人生の岐路に立った時の判断の癖、囚われる感情などを洗い出し、客観的に把握していきます。この時、ファシリテーターの役割が非常に重要になります。

【 4. 自分のキャッチコピーを決める】
自分が仕事をする上でのブランド・アイデンティティをキャッチコピーとして表現します。これはお客様に「こう思われたい」を言葉にする作業です。

【 5. 仕事の流れに沿って自分の見せ方、話し方、伝え方を決める】
日々の仕事の大まかな流れに沿って、自分の行動のあり方を決めます。

【 6. 自分ブランドをお客様に向けて発信する】
日常的に使用しているお客様向けツールの見直しを行い、必要があれば新たなコンテンツも追加します。

大枠をお伝えしましたが、実際には業種業態、担当職種別に細かくパーソナルブランディングの内容は変更を加えます。

オレンジフリーでは、情報機器の商社や工務店、広告会社など社員のパーソナルブランディングをサポートしていますが、企業は一社ずつ個性的な存在であり人も百人百様なので、成果をあげるために緻密にカスタマイズしています。社員のパーソナルブランディングを推進する際には、各々の社員のどこにスポットを当てればよいか、どうアピールすべきかなどを考え、効果的なブランディングを行いましょう。

このように社員一人ひとりをブランド化することができれば、集客や売上増のための大きな武器となります。顧客のロイヤリティを高めることで、不毛な価格競争に巻き込まれず高いリピートも期待できるようになるでしょう。